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10月編

◆ 神様の国内版サミット開催月?

6月で水無月をご紹介したように、日本には月別に美しい呼び方が
あります。10月は神無月(かんなづき)。この月に日本中の神様が
会議を開くために出雲の国(島根県)にある出雲大社に出張(?)。
諸国を留守にすることから、神様がいなくなる月=神無月と呼びます。
ちなみに、神様サミット開催地の出雲では神在月(かみありづき)と
呼ぶそうな。この茶目っ気、なかなかシャレていますよね。
 
実は出雲地方の他に、もう1か所、神在月と呼ぶ場所があります。
それは長野県の諏訪大社周辺。諏訪大社の神様の諏訪明神が、
あまりにも巨漢だったため、出雲に集まった他の神様が驚き、
「あなたは出雲に出向かなくてもよい」と言ったそうな。なんとも
ほのぼのとした神話ですよね。
 
ところで、疑問その1。諸国から出張してくる神様たちが開く会議、
いったい議題はなんだと思いますか? それはなんと、縁結びの
相談だとか。語り継がれる神話は、けっこう粋です。
 

◆ 「体育の日」、ルーツは戦後の日本を元気にしてくれた日

10月10日は体育の日。2000年からは10月の第2月曜日に
変更されてしまいましたが、日本人の心の中では、やはり
10日が体育の日だという気がします。それは、1964年に
東京オリンピック(第18回大会)が開催された日だから。
当時の日本国民の気持ちを想像してみてください。
第12回大会にアジア初のオリンピックとして決定していた
のに、戦争のために中止。そして第2次世界大戦で敗戦し、
その後、復興するために私たちの両親や祖父母たちは
必死になって働いてきました。ようやく第17回大会の立候補
までこぎつけたものの落選。こんな経過をたどっての東京
オリンピック開催です。当時の日本人たちは、どれだけ晴れ
やかな気持ちでオリンピック開会式を迎えたことでしょう。
この頃に生まれていなかったパパやママたちにはピンとこない
話かもしれません。でも、戦争の悲惨さを語り継ぐとともに、
『奇跡の復興』と呼ばれた戦後の日本人たちのがんばりも、
ぜひ子どもたちに語り継いでほしいと思います。


◆ 狩り、その1。紅葉狩り(もみじがり)
 
秋の風物詩といえば『もみじがり』。赤や黄色に色づいた日本
独特の紅葉(こうよう)を観賞して楽しむことで、もみじを採る
ことではありません(!)。また『もみじがり』と言っても、もみじと
いう木があるわけではなく、カエデ科の木のことをもみじと
言います。ほかにも、楢(なら)や橡(くぬぎ)などの色づく
落葉樹を『もみじ』と呼んでいます。
この習慣は奈良時代から始まったといわれ、『万葉集』にも
書かれています。平安時代になると貴族の間で広まり、
紅葉を愛でながら宴を開いていた様子が『源氏物語』にも
登場します。時を経て、江戸時代になると庶民の間でも
楽しまれるようになり、季節の行事として定着しました。
俳句では「山装う」が秋の季語。山が友禅のような美しい
色柄を装うニュアンスが感じられますよね。
さて、平成の今。日本は温暖化の影響で四季から二季の
国になりつつあります。夏と冬しかなくなるというのは、日本
固有の文化までもが消滅してしまいそうで悲しい限り。
そんな温暖化の現在でも、やはりニュースでは北国の
木々が色づいた映像が流れます。
♪秋の夕日に 照る山 もぉみぃじぃ♪
小学校で習う『もみじ』の歌、お子さんと歌ってみてくださいね。
 
  秋の夕日に  照る山もみじ
  濃いも薄いも   数ある中に
  松を彩る    かえでや蔦は
  山のふもとの すそ模様
 
  谷の流れに  散り浮くもみじ
  波に揺られて 離れて寄って
  赤や黄色の  色さまざまに
  水の上にも   織る錦


◆ 狩り、その2。実りの秋は味覚狩り

風流な紅葉狩りの後で恐縮ですが、やはり花より団子のお話。
天高く馬肥ゆる秋という言葉があるように、日本の秋はオイシイ
食材がたくさん出回るシーズンです。海の幸や山の恵みなど
この時季に味わえる食材を楽しむことを『味覚狩り』と呼びます。
収穫物は実りのシーズンだし、人間も夏バテから解放され、冬に
備えて脂肪を蓄えるために食欲が旺盛になります。気候や
自然と寄り添って生きてきた日本人ならではの風習ですよね。
 
そんな味覚の秋にも温暖化の影が・・・。秋の代表格だった
サンマが獲れなくなってきています。漁場の海水温が高く、
魚群が日本列島に近づかないのだとか。落語の噺で有名な
『目黒のさんま祭り』も今年は開催が危ぶまれましたが、
さすが日本人の心意気。1999年から無償でこの祭りに、
さんまを提供し続けてきた岩手県宮古漁港から今年も
7,000匹が直送され、参加者に無料で提供されました。
皆さんがお住まいの場所にも秋の味覚があると思いますが、
今日の晩ごはんは日本の秋の食材を使ってみませんか。
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日本には長い歴史が育んだ世界に誇れる文化があります。
この「おかわり 大人の虎の巻」では、その文化から生まれた
『にほんのならわし』をご紹介していきます。
ここでピックアップするのは、エライ学者さんたちが研究する
難しい文化ではなく、昔から庶民が暮らしに取り入れてきた
身近なものばかり。願いや祈りを込めた大マジメなイベント
からオチャメなものまで、ご紹介していく予定です。
お子さまといっしょに日本を考えるキッカケにお使いください。

文:ごとうたまき
イラスト:たかぎきよか

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