3月編

◆ 雛祭りのメニュー

3月といえばお雛様。雛祭りは中国から伝わったならわしです。
日本でも昔々は貴族や武家社会だけの行事でしたが、江戸時代
から庶民の間で一般的になりました。もちろん、女の子の健やかな
成長を祈念した行事です。
雛祭りのお祝いは3月3日当日または前の晩(宵節句)に行います。
献立は、ちらしずし、蛤のお吸い物、雛あられ、菱餅、白酒などなど。
ことに蛤のお吸い物はマストアイテムのようです。蛤は2枚貝で
上下が一対。お嫁さんになった時に仲むつまじい夫婦でいられる
ようにと願いをかけたものです。お嬢様がいらっしゃるご家庭は、
将来、お嫁にいくかどうかは「?」でも、気は心。蛤のお吸い物を
準備してみませんか。
 

◆ 雛人形のホントの話と迷信?!

雛飾りは関東と関西で異なります。関東は向かって左が男雛、右が
女雛。関西では逆です。また、雛人形はサッサと片付けないと
婚期が遅れるという説がありますが、これは迷信。3月中旬までに
片付ければよいのだそうです。ポイントは天気のよい乾燥した日に
しまうこと。カビの発生を防ぐためです。もっと大切なのは、お子さま
にも片付けを手伝わせること。物を大切に扱うというニッポンの
心を教えることができます。乾燥した布で軽くホコリを払い、お顔は
やわらかい紙で包んであげてください。新聞紙は厳禁です。インクが
お顔に移ってしまいますので。「来年、またキレイなお顔のままで
会いましょうね」とお人形と約束しながらしまうと、優しい心が育める
かもしれませんね。
 
 
◆ お彼岸と春分の日

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、お彼岸を境に春は
寒さが、秋は暑さが和らぎます。エアコンがなかった昔の人は酷暑や
極寒が過ぎたことにホッとしたのかもしれませんね。春のお彼岸は
春分の日の前後3日間で計7日間。もちろん、ご先祖様を供養する
ことが1番の目的です。でも、私たちの楽しみといえば、牡丹餅。
春のお彼岸は牡丹餅、秋のお彼岸はお萩をいただきますが、実は
この2つはまったく同じものです。その季節に咲く花にたとえてネー
ミング分けしたもので、ちょっと小粋ですよね。小豆の赤は災難が
ふりかからないおまじないです。春分の日の頃、ご先祖様に手を
合わせつつ、牡丹餅をご家族で召し上がってみませんか。
 
 
◆ 春は苦いものを食べる・・・?

昔から「春は苦い食物を食べなさい」と言われているそうです。
苦みのある食材・・・たとえば山菜などに含まれているポリフェ
ノールやミネラルは細胞を活性化する働きがあり、冬から春へ
アクティブに活動する準備期間に、ふさわしい食材と言えます。
でも、成分などまったく解明されていなかった昔、どういう根拠で
春は苦いものを!と伝えられてきたのでしょうか。もしかしたら、
昔の人の方が科学的な成分のことなどわからなくても、自然の
声に耳を傾ける能力に長けていたのかもしれませんね。
ちなみに、苦い食材の代表選手は、ウド、タケノコ、菜の花、春菊、
三つ葉などです。お子さまにもニッポンの春の味覚を体験させて
あげてください。ちょっと苦い体験にはなりますが・・・。
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日本には長い歴史が育んだ世界に誇れる文化があります。
この「おかわり 大人の虎の巻」では、その文化から生まれた
『にほんのならわし』をご紹介していきます。
ここでピックアップするのは、エライ学者さんたちが研究する
難しい文化ではなく、昔から庶民が暮らしに取り入れてきた
身近なものばかり。願いや祈りを込めた大マジメなイベント
からオチャメなものまで、ご紹介していく予定です。
お子さまといっしょに日本を考えるキッカケにお使いください。

文:ごとうたまき
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