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6月編

◆ 雨が多いのに水無月?

6月は水無月(みなづき)。梅雨時で雨が続くというのに、なぜ
水が無い月? 実は無の文字が‘の’を表す連体助詞なんだ
そうです。つまり、「水の月」という意味。でも、梅雨で雨水が
いっぱいだから、水の月なのではありません。田植えを終えて
田んぼに水を張る必要があるので、水の月と呼ばれるように
なったのだとか。月の名称が農作に由来しているとは、やはり
お米の国ですね、日本は。
ちなみに、皆さんは1月から順番に和名で月が言えますか?
お子さんたちは英語や現地の言葉で月の名も覚えなくては
いけないのに、イチガツニガツだけではなく、睦月如月も
覚えるのは大変でしょうが、月のスタートに「6月を日本では
水無月とも呼ぶのよ」とぜひ教えてあげてください。もちろん、
知らなくてもまったく困らないけれど、知っていたら異国に
いても日本を感じられる気がしませんか。
 
 
 
◆ 「つゆ」と「ばいう」と「梅雨」

雨降りの日が続くシーズンを雨季ではなく、梅雨と呼ぶ日本。
では、なぜ‘つゆ’を梅の雨と書くのでしょうか。それは梅の実が
黄色く熟する季節の雨という意味。これは中国から伝来した
もので、中国では梅雨(めいゆ)と呼びます。ちなみに‘つゆ’と
読むのは、諸説あるようですが、‘露’から来ているのでは?と
いう説が濃厚だとか。
では「ばいう」と呼ぶのは、なぜでしょう? 梅もバイと読みますが、
実はカビがコトの発端。ジメジメとしてカビが生えやすくなる時
なので、「黴雨」と書いて「ばいう」と呼び、これが転じて「梅雨」に
なったのだそうです。
梅の実は生では毒性が強いのに、梅干しにするとアルカリ性の
健康食品になる。湿気と暑さで夏バテが始まるこの時期、梅干しは
食欲を増進させて、夏バテ防止にもひと役かってくれます。
 
 
 
◆ 夏の準備、衣替え
日本では6月1日から夏服。学校や官公庁、企業などでは、この
日から夏の制服になります。学生の制服が涼やかなバージョンに
変わった光景を見かけると、その時期だなと実感。衣服が風物詩
にもなっています。もちろん、縦長のお国柄。北海道や九州・沖縄
では、切り替えのタイミングも違います。
もともと衣替えは、平安時代に宮中の行事として始まったもの。
江戸時代には、なんと1年に4回も衣替えがあったそうですから、
「ご苦労さま・・・」の気分です。6月1日から夏服、10月1日
から冬服となったのは、洋装を取り入れ始めた明治時代から。
でも、現代は温暖化の影響でもっと早いタイミングで暑くなる
ので、5月31日まで冬服でいたら汗だくになってしまいます。
明治時代は今よりも健康な地球だったから、こんなに早く暑さが
襲ってこなかったのでしょうか。
制服が変わるだけではなく、押入れやクローゼットにしまっていた
衣装との交換大作戦も「衣替え」と呼びますよね。これがけっこう
大変な作業。この時期、女性たちの社交辞令的な挨拶で「衣替え、
済んだ?」と言い合ったりもします。衣替えは四季がある日本
らしい、生活の句読点なのかもしれませんね。
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日本には長い歴史が育んだ世界に誇れる文化があります。
この「おかわり 大人の虎の巻」では、その文化から生まれた
『にほんのならわし』をご紹介していきます。
ここでピックアップするのは、エライ学者さんたちが研究する
難しい文化ではなく、昔から庶民が暮らしに取り入れてきた
身近なものばかり。願いや祈りを込めた大マジメなイベント
からオチャメなものまで、ご紹介していく予定です。
お子さまといっしょに日本を考えるキッカケにお使いください。

文:ごとうたまき
イラスト:たかぎきよか

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