4月編

◆ 新入学とランドセル

欧米では9月から新学期が始まりますが、日本は4月が
新入学や新学年のスタートです。新入学のお祝い品といえば
ランドセルですが、これは日本独自のもの。兵隊さんが背負う
リュックをオランダ語でランセルと言っていたことが語源です。
通学のカバンとして広まったのは、明治時代、あの伊藤博文が
当時の皇太子(大正天皇)に献上したのがキッカケ。そこから
徐々に庶民に広まっていきました。男の子は黒、女の子は
赤が定番でしたが、現在はとてもカラフルになっていて24色も
出している流通メーカーもあり、平成の今は通学路にパレットの
花が咲いたように色鮮やかです。


 

◆ 日本の心、さくら

4月は桜の季節です。縦に長い島国ニッポンでは九州地方の
3月開花から、東北や北海道の5月開花と桜前線が北上
しますが、イメージとしては‘4月の桜’ではないでしょうか。
桜は日本人の心そのもの。たおやかで、はかなげなその佇まい。
短命で散ってしまう潔さや花吹雪の荘厳さ。この和の美しさを
お子さまに理解させることは難しいでしょうが、成長の過程で
ぜひ伝えてあげてください。小さなお子さまには、「さくら♪」の
歌や桜を眺めながらお弁当をいただくお花見の楽しさから
教えてあげてはいかがでしょう。ちなみに昔々は、秋のお月見と
並んで、桜の花見もお団子とお酒をお供えしていたそうです。
これが徐々に変化して、現代の花見の宴になったのかも
しれませんね。



◆ 花より団子!? 桜もち
この時期ならではお菓子といえば、桜もち。東京・向島の長命寺
近くにあった老舗和菓子店「山本屋」の山本新六さんという人が
1717年(8代将軍吉宗公の頃)に作られたそうです。
塩漬けした桜の葉に包まれた独特の香りは、まさしく春の香り。
とても粋でオツな気がしますが、ことの発端は向島堤の桜の
落ち葉の掃除に悩んだ新六さんが葉を塩漬けにして餡餅を
包むことを考案したのだとか。当時、向島の花見客に受けて、
今にいたっているそうです。
なんだか毎度、花より団子のエピソードでスミマセン。



◆ 潮干狩りと佃煮
4月はアサリが獲れて、おいしい時期です。この頃に潮干狩りを
した思い出があるパパやママも多いのではないでしょうか。
潮干狩りは貝拾いまたは貝掘りとも言って、春の季語でも
あります。では、なぜ潮干狩りは4月がいいのでしょう? 答えは
意外にも月の引力と関係あり!なのです。4月は満ち引きの差が
大きい大潮の時期、つまり1年を通じて最も引きが強い時期。
つまり、潮が引いている時間が長い春のこの頃、たくさんの
アサリが獲れるのです。
酒蒸しやおすましでもおいしいアサリ。花のお江戸で流行った
のは佃煮です。埋立地の佃島の漁師たちは幕府のおかかえ漁夫
として、さまざまな海の幸を献上しました。市場でも売りましたが、
あまりにも獲れ過ぎて残ったものを醤油で煮て保存用食材に
しました。これが佃煮。江戸町民の間でヒットし、もちろん平成の
今でも佃島の佃煮は有名で、老舗の味はデパ地下でも人気商品です。
 
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日本には長い歴史が育んだ世界に誇れる文化があります。
この「おかわり 大人の虎の巻」では、その文化から生まれた
『にほんのならわし』をご紹介していきます。
ここでピックアップするのは、エライ学者さんたちが研究する
難しい文化ではなく、昔から庶民が暮らしに取り入れてきた
身近なものばかり。願いや祈りを込めた大マジメなイベント
からオチャメなものまで、ご紹介していく予定です。
お子さまといっしょに日本を考えるキッカケにお使いください。

文:ごとうたまき
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