5月編

◆ 夏も近づく八十八夜♪

立春から数えて88日目にあたる日で、今年は5月2日。子どもの
頃、「夏も近づく八十八夜♪」と歌いながら手を合わせる遊びをした
記憶はありませんか? 八十八夜とは茶摘みを始める頃のこと。
この日を境に霜が降りなくなり、やわらかく良質な茶葉が採れる
時期に入ります。この頃に採れたお茶を飲むと長生きできると言われ、
縁起物として珍重されています。現在は、茶葉に含まれるカテキンの
抗酸化力がビタミンEの20倍も含まれていることがわかっているので、
科学的にも合っていますよね。先人の知恵は、とにかくスゴイ!
みなさんの生活の中では、コーヒーや紅茶が一般的かもしれませんが、
もし入手できたら、新茶を八十八夜の歌を教えながらお子さんと飲んで
みてはいかがでしょう。
ちなみに・・・八十八を組み合わせていくと『米』の漢字になります。
また、お米を栽培するには88の手間がかかるともいわれ、それほど
大変な作業。このため、米農家でもこの日を大事に考えています。



◆ 端午の節句は女性のお祭りだった?

ご存じ、男の子の節句。ですが昔々は、いい米を生むように田植えを
任されていた早乙女(さおとめ)という女性たちのためのお祭りだった
そうです。時は流れて鎌倉時代。中国で端午の日に菖蒲酒を飲んで
災いを払っていた風習が伝来し、菖蒲が勝負に通じることから、武家
社会のお祝い事になりました。これが進化して江戸時代には男の子の
節句となり、武家にも庶民にも広まったそうです。
1948年には『こどもの日』に制定されたので、男女同権(?)、すべての
こどものすこやかな成長を祝う日になっています。ちなみに、こどもの
日の主旨は、こどもの幸せを祈りつつ、母に感謝する日なのだとか。
母の日はアメリカからやってきたお祝いですが、こどもの日に母にも
感謝をするのは日本だけのステキな伝統ですね。



◆ 端午の節句のアイテムあれこれ

武者人形や鎧兜は、鎌倉時代の武家社会のお祝い事の流れを
汲んでいます。では、鯉のぼりは? これを飾る習慣は江戸時代の
中期からで、中国の故事「黄河中流の急流を上った鯉は竜になる」
を参考にして、子どもの出世を願うために鯉のぼりを五月晴れの
空に泳がせるようになりました。ここから、立身出世のための関門を
‘登竜門’と呼ぶようになったそうです。
また、端午の節句といえば菖蒲湯、柏餅やチマキ。中でも柏餅を
食べるようになったのは江戸時代からです。柏の葉は新芽が出ないと
古い葉が落ちないので、家系が絶えないという縁起かつぎのようです。
5月5日、柏餅を食べたら、夜は勝負に強い運がつくように菖蒲湯に
入り、日本の端午の節句のお話をしてあげてください。



◆ 母の日とカーネーションの色

母の日はアメリカ発祥の歳時記というのは、みなさんもよくご存知
ですよね。日本には1915年に伝わり、戦争の足音が忍び寄る
1937年に暗い世情を心あたたまる行事で日本を元気にしようと
森永製菓が呼び掛けて広まりました。子どもの頃、小学校でカー
ネーションの造花が配られ、胸に付けたことを覚えている方もいる
のではないでしょうか。でも、母がいる子は赤、母がいない子は
白と区別をつけたことが子どもたちの心を傷つけるのでは?という
配慮から、赤に統一されたそうです。お母さんを想う気持ちは、
みんないっしょ。当時のお役所がなぜ色で区別したのか・・・。
こんな低次元の慣習がなくなって、よかったですよね。
 
 
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日本には長い歴史が育んだ世界に誇れる文化があります。
この「おかわり 大人の虎の巻」では、その文化から生まれた
『にほんのならわし』をご紹介していきます。
ここでピックアップするのは、エライ学者さんたちが研究する
難しい文化ではなく、昔から庶民が暮らしに取り入れてきた
身近なものばかり。願いや祈りを込めた大マジメなイベント
からオチャメなものまで、ご紹介していく予定です。
お子さまといっしょに日本を考えるキッカケにお使いください。

文:ごとうたまき
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